じゅにばん耳かき妄想してきました。
超短文ですがよろしい方は続きから…
「じゅっにあー!耳かき、してほしくない?」
柄の頭に白い綿がついた典型的な耳かきを持った常磐が満面の笑みで言った。
思わず口元を引き攣らせながらその顔を見る。周りにきらきらと効果音がつきそうな程至極楽しそうな笑みだ。
楽しそうな笑み、だが。
そもそも常磐における「楽しい」がオレにとっての「楽しい」であるはずがない。今までの経験上それは火を見るより明らかだ。
「いや、昨日したばっかだから遠慮しとく」
「なんだよー恋人との甘い一時を過ごさせてやろうって言ってんじゃん!」
視線をそらしたオレの腕を「遠慮すんなって!」とぐいぐい引っ張ってくる常磐を振り払おうとせめぎあう。
冗談じゃない何が甘い一時だ、どう考えても血を見る予感しかしない。さっきの笑みだって後ろに黒いオーラが満載だったじゃねぇか。
「やーらーせーろー」
仕舞いには腕に全体重をかけてぶら下がるようにしている常磐に叫ぶように言う。
「絶対嫌だ!大体お前他人の耳かきとかしたことないだろ!」
「大丈夫だって!昨日高崎で練習したし!」
…今日の朝礼で高崎は体調不良で休みだと京浜東北が言ってなかったか…?「理由聞いても教えてくれないんだよねぇ…」と零していたが…まさか…それが理由か…?
いやしかし耳かきごときで…そこまでクラッシャーであるはずが…
ちらと常磐を見る。腕にぶらりとぶら下がった常磐は、オレの視線に気付き期待に満ちた大きな瞳で見つめ返してきた。
いやコイツならやりかねない。可愛い顔して悪魔的な所業をやってのける常磐ならば十分にありうる。高崎の休みの原因は間違いなくコイツだ。
やはり冗談じゃない。
大体常磐は耳かきなんてちまちま細かいことできるような性格じゃない。見た目に反して大雑把で男らしすぎるんだ。誰だよコイツに耳かきなんて凶器与えた奴は。
しかしふと別の考えが頭を過ぎる。
高崎で練習したということは、その…高崎に膝枕をしたということだろうか。高崎が、常磐の膝に?
勿論高崎とこいつで甘い空気になるわけがないのだけれど。無理矢理丸めこんで押さえ付けるようにしてやったに決まっている。
しかし更に言えば残念なことにそれがオレに変わったところで甘い空気など望めるはずもないというところだ。
いや、練習したということは真面目にやる気はあるということなのか…?結果がどうであれ。
「ジュニアはオレといちゃいちゃしたくないんだ…」
「いちゃいちゃってお前…お前に限って耳かきの先にそんなシチュエーションが待ってると思えないんだが。」
「そんなことねぇよ…」
しゅん、と凹んだ常磐の肩になんだか心がざわついた。俯きがちに口を尖らせている。本気でオレの為を思って言ってくれたと言うのだろうか。
そうだとしたら、これほど嬉しいことはないわけで。
「………わかったよ」
結局根負けしてオレは搾り出すようにそう言った。はっきり言って苦渋の選択である。
「マジ!?」
常磐はばっと顔をあげると、スプリングが壊れるんじゃないかというくらい勢いよくソファに座って自分の太股をぱすぱすと叩いた。そこに頭を乗せろと言いたいのだろう。
おずおずと常磐の横に腰を下ろし、その太股に頭を乗せる。何度も触れたことはあるが、いつもとは違うシチュエーションに何だか妙に緊張した。
ちらりと上を見上げると常磐がやけに嬉しそうににこにことしている。少し照れたようなはにかむ様な笑みだ。
ああ、こんな顔が見られるなら耳かきくらいさっさとやらせてやればよかったかな…
常磐は耳かきの先をふっと一吹きすると顎を少しくぃとあげて、目をすぅ、と細めて先程の表情が嘘のように冷たく笑った。
「さってジュニア、覚悟、してね☆」
「は?ちょっ!」
そして案の定、オレはすぐに前言撤回をすることになる。
翌日東海道さんは原因不明でおやすみです。
高崎だけが何があったか察しています。
電車とかコスプレとかが好きなただのヲタクです。
基本マイナー思考でマイナー嗜好。
好きなものには全力です。
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