今回は仕事がどうしても休めないので常磐さんの元でこの日を過ごせないのでしょんもりです…
その上ぱっこんも触れないため予約投稿ですよ…
ちょっと家庭の方で年始早々ごたごたがありまして文を書いてる余裕がなかったため、一日クオリティなSSですみませ…!
ひとまず落ち着いたらちゃんと常磐さんに乗ってお祝いしにいきたいです。
年始早々いろいろとあったせいでここ連日調査やら報告やらで残業続きだった。今日も部屋に辿り着いたときには時計の短い針は頂点を回っていた。今日くらい、日付的にはもう昨日だが、今日くらいは日付を跨ぐ前に帰りたかったのだが。
真っ暗な部屋の電気をつける。自室は冷たい空気に満ちていたがどうせ後は風呂に入って着替えて寝るだけだ。暖房の電源は入れずにコートとスーツを脱いで壁にかける。きっちりと畳まれた部屋着をタンスから取りだし袖を通したところで、まだスーツのポケットに入れたままだった携帯電話がピリリと鳴った。
画面を見ると見慣れた二文字。もうとっくに寝たと思っていたのに何をやってるんだあいつは。
『えー?酔ってねーよー?』
しっかりと確認するように一文字一文字はっきりと言うと、電話の相手、常磐はそう言ってころころと笑った。
常磐は酒に強い。底無しだ。けれどまったく酔わないというわけではなく、飲むとテンションが上がる。ただでさえいつもテンションは高めだというのに更に、だ。正直迷惑なことこの上ない。とはいえこのテンションになるまでにはかなりの量が必要なのだ。
こっちの怒気をはらんだ声など気に止める様子もなく笑う常磐の声が耳元に響く。後ろに聞こえる喧騒からして外で飲んでいるのだろう。
『なーじゅにあー迎えこいよー』
「お前どこにいるんだよ」
『んーここどこ?』
「知るか」
『なんだよ冷たーい。愛してる恋人の居場所くらいわかれよなー』
無茶言うな。
返事はせずにぶつりと通話を一方的に断ち切る。自分勝手な物言いにイライラが積もった。今日くらいは怒りたくないというのに。
誕生日くらい、素直に祝わせろ。
おめでとうという声が聞きたくてかけてきたんだろうか、と一瞬嬉しく思った自分が馬鹿だった。常磐はそんなに可愛げのあるやつじゃない。これは単に酔いにまかせてかけてきただけだ。
放っておいたってなんとかするだろう。携帯をタンスの上に置き、着替えを再開した。
「おい常磐起きろ」
椅子を三つ占領して寝そべる常磐の頬をぺしりと叩く。よくこれで落ちないものだ。手足を曲げ、狭いスペースに器用に収まっている様には呆れつつも少し感心する。
「あれージュニアだ。なにしてんの?」
開いた瞳はとろんと溶けて潤んでいた。頬や首筋がほんのりと赤い。アルコールが顔に出ることは無いからこれは単に暖房がよく効いている部屋で眠っていたからだろう。
「迎えに来たんだよ」
「迎え?…やだーまだ飲むー」
飲むと言いつつと寝返りを打って再び寝ようとする常磐の頬をもう一度叩く。けれど常磐はそれを
無視して再び寝息を立て始めた。駄目だ、こいつは無理にでも連れ帰らないと。
「駄目だ。飲みすぎだ。帰るぞ」
腕を引き、椅子に座らせると常磐は大きく欠伸をした。目を閉じたまま眉根を寄せて、不本意そうである。ゆらゆらと上体が揺れて安定しない。
「すみません。迷惑かけました」
カウンターにひじをついてこちらのやり取りを見守っていた店主に頭を下げる。
「いいのよぉ。この子にはいつも贔屓にしてもらってるし、この子がいると周りのお客さんもお酒が進むしね」
見た目は少し大柄な綺麗な女性だが、それにしては低めな声で店主は言った。おじさま方のアイドルなのよぉ、と高価そうな着物の袖で口許を覆い、きゃらきゃらと上品に笑う。
アイドル、か。常磐は誰に対しても物怖じしないどころかずかずかと入り込み、すぐに仲良くなるのが得意だ。酒の席なら尚更。見知らぬ客と意気投合して酒を奢られているなど常なのだろう。想像は容易い。
容易いが、あまり気分はよくない。
「しっかし珍しいわねぇ。こんなに潰れるなんて」
「そうですか?家で飲むときはこんな感じですけど」
自分が傍らに居れば適度なところで止めさせるのだが。高崎なんかと飲んだ時にはよくこんなテンションになっているのを見る。高崎にも止めろと言いたいところではあるが、あの二人の場合高崎の方が常磐より先に潰れてしまうのだから仕方ない。宇都宮は止めるはずも無いし、何より自分があいつに頼みごとなどしたくはない。
店主は長い睫毛のついた瞳を瞬かせ、すぐににやりと笑んだ。やけに嬉しそうである。
「はーなるほどねぇ」
「何ですか」
「いいえ何でも。お代は次のときでいいわよ」
「いえ立て替えます。お金のことはきっちりしたいんで。おいくらですか」
「律儀ねぇ、そういうこ、嫌いじゃないけど」
なんだか随分と子供扱いされている気がする。まあ見た目は20代半ばといったこの外見では仕方ないのだが。オレもこいつもあなたの3倍は生きてますよといったところで信じないだろう。
常磐がここまでになるには随分と飲んだはずなのに提示された金額はやけに少なかった。よっぽど人に奢られたのかそれとも店主がおまけをしてくれたのか、はたまたその両方か。
深く追求するのも失礼だろう。言われたままの金額を支払い、椅子に座らせていた常磐の腕を自分の首に回して背負う。店主に一礼して引き戸を開けると、後ろから小さな笑い声が聞こえた。
「頼ってる人、ちゃんといたのねぇ」
その言葉の意味がわからないほど鈍感ではないつもりだ。特に返事はせずに入り口の扉をくぐった。
「じゅにあー」
耳元で甘えたように名前を呼ばれる。こういう声で呼ばれるときは大体碌なことじゃないのはもう嫌と言うほど知っている。
「なんだ」
「寒い」
深夜の暗闇は申し訳程度に設置された外灯くらいでは覆いきれるものではない。重い闇のせいでただでさえ寒い一月の気温が余計に冷やされているような気がした。
こんな時間に帰るはめになったのは自分のせいだろう。
「我慢しろ」
「なんだよ自分の上着着せてくれるとかねーのかよ。可愛い恋人が凍えてるのにー」
「お前だって自分の上着着てるだろ」
おぶっているため顔は見えないがさぞかし不満そうな表情を浮かべているのだろう。ばしばしと肩を叩かれるが酔っているからか大して力は入っていない。しばらく背中で暴れていたが飽きたのかやがて静かになった。
「じゅにあー」
かと思ったら再び名前を呼ばれる。酔っ払いに逆らっても面倒なことになるだけなので素直に返事をする。
「なんだよ」
「なんでオレのいるとこわかったの」
そう言う常磐の声が、んだか期待しているように感じたのは自惚れだろうか。しかしこいつ相手にそんな喜びを感じたところで鼻で笑われるだけなので表には出さずに冷静に返す。
「店主が電話くれたんだよ」
「ちぇー愛してるからわかったとか言えよー」
「言ったらドン引くんだろ」
「腹かかえて笑ってやるー」
ああ、そうだな。お前はそういう奴だよ。常磐は何がおかしいのかけらけらと楽しそうに笑った。酔ってテンションが上がっているからどんなことでもおかしいのか。ひとしきり笑うとまた今度は溜め息をつきながら言う。
「あーじゅにあのせなかひろくてむかつくー」
首元に顔を押し付けてくる常磐の熱い息を感じて慌てて意識を散らす。天然か確信犯か、素面なら完全に後者だとわかるのだが、酔い潰れた状態でも果たしてそうなのか。確信犯ならお望み通り襲ってやるだけなのだが、果たして手を出してもいいものか。
明日片付けなければならない仕事の事でも考えよう。まだまだ回らなければならない関係箇所は沢山あるのだ。昼間は外回りに出て夜は社に戻って報告書の作成をして、明日こそは早く帰りたい。仕事は嫌いではないがそろそろ体が悲鳴を上げてくる。体調管理ができないなんてプロ失格だと周りに言っているからには自分が体調を崩すわけにはいかない。時には休むことも必要なのだ。
「聞いてんのかよ」
こっちがなるべく意識しないよう別のことを考えようとしているのを敏感に感じとっているようで、常磐はむっつりとした声で呟いた。自分の方に意識が向いていないのが不満なようだ。
「聞いてるよ…!て、おま!なにを!」
べろりと首筋を舐め上げられた。ぞくぞくと寒気とは別の痺れにも似たものが背筋を走る。舐められた場所にかかる息が熱い。外気が冷たいから余計にそう感じるだけなのだろうが本当にこいつは厄介だ。
「じゅにあー」
「なんだよ少しは黙ってろ、酔っ払い」
頼むから。
舐められたところを拭きとりたいが常磐を背負っている為両手が塞がっている。拭いて、平静を取り戻したいのに。
「すき」
だから、人が考えないようにしようと思っているのに。
こっちのことなどお構いなしなのは酔っていてもいなくても同じだ。
「…あーはいはいありがとな」
こんな戯言に付き合っていたら精神が持たない。なるべく軽く受け流そう。わかっているのだ。こいつの性格なんて。わかっているのに翻弄される。
「何で今日帰ってこねーんだよ」
「仕事だろ。文句言うな」
「だから大人しくひとりで飲んでたんじゃーん。文句なんか言ってねーもーん」
「周りに迷惑かけてたら大人しいとは言えん」
「えー迷惑かけられて嬉しいくせにー」
「…」
「じゅにあー」
何も言わないオレの名前を常磐が再度呼ぶ。ああ本当に酔っ払いと言うやつは。
「…なんだよ」
「誕生日なんだから良い酒用意しろよ」
「今の酒抜いたらな」
「けちー」
言って常磐は再びオレの首元に頭をうずめた。喋っているのに疲れたのか、あーとかうーとか言いながらごそごそと小さく動いている。居心地のいい姿勢を探しているのだろう。歩けるようなら降りてほしいのだがその気はさらさら無さそうだ。
なんとか定位置を見つけたのか動かなくなったところで今度はこちらから名を呼ぶ。
「常磐」
「んー…?」
「誕生日おめでとう」
返ってきたのはすぅ、と小さな寝息だった。まったく本当に身勝手な奴だ。
でも。
誕生日にオレがいないからとひとりでべろべろになるまで飲んでいたこいつをどうして叱れるだろう。常磐のことだからてっきり仲の良いやつでも半ば無理矢理誘って、大人数で騒いでいるものだと思っていた。なのに。
なんでらしくないことしてんだよ。
ずるりと垂れ下がってきた腕の位置を整え、小さな体を抱え直す。
昔だったら絶対こんなことしなかったんだろうなぁ。酔って帰れない同僚なんて捨て置いておけば良いと、そう思ったはずなのに。
背中に感じる温度が心地好いと知ったのは、知ってしまったのは、遠慮などなく背後から飛びついてのしかかってくるこいつのせいなのだ。真冬の夜の風は刺すように冷たいはずなのに、ちっとも寒さを感じなかった。
ちょっと弱音を反転…
ほんとに需要なさすぎて反応も無くて書いてていいのかもわからなくて辛いです…
好きで書いてるんだからそれだけでいいじゃないって思ってはいても
誰かがジュニ磐すきでいてくれるって実感がやっぱりほしいってわがままなのはわかってるのです…
感想くれなんてそんな恐れ多いこと言わないから誰かジュニ磐語ってくれたら嬉しいです…です…
電車とかコスプレとかが好きなただのヲタクです。
基本マイナー思考でマイナー嗜好。
好きなものには全力です。
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